家事は苦手? 中国の実情から導き出された個性
丸戸:トンは料理が苦手という描写がありましたが、そもそも、中国から留学するような人たちは子供のころからずっと勉強しかしていない、ずっと努力して、その省のトップになるような、そのくらいのレベルの人たちらしいんですよ。だから普通、料理なんてしないというのが、中国のいわゆるできる人たちの常識に照らし合わせた結果なんです。身の周りのことはしないし、親もそんなことしている暇があったら勉強しろとやらせない。
矢野:特にトンはいい家系、成功している家のお嬢さまなので、そういった意味でも身の周りのことは別の人にやらせていると思いますので、家事全般は得意ではないのかなあと思っています。
森:包帯のしばり方も微妙でしたからね。
矢野:見てわかるくらいには下手。お世話され慣れてるところがあるくらいには箱入りで、それが嫌で独立して暮らしたくて留学してきたという流れもあります。
丸戸:ですので、家事が下手というのはギャップのあるキャラクター付けでは決してなくて、そもそも中国で成功している女性タイプに基づいたロジックでつけられたキャラクター性なんです。
矢野:脚本作りの上でも、中国スタッフからたぶんこうはならないという指摘をいただくこともあって、調整したり変更した部分もありました。
丸戸:シンヤオを守ろうとするところなんかは、親分肌な部分かなあと思いますね。
星野:もし、日常的なストーリーとして、トンがカフェフォービドゥンの店長をやっていたとしたら、どんな風な日常を送ったんでしょうかね。
森:もっと平和なアニメになって、僕は楽ができたでしょうね(笑)。
丸戸:僕が最初に書いたプロットはそっちだったんですよ(笑)。
矢野:アクションや戦闘が入るプロットは僕です(笑)。
星野:矢野さんのせいというわけではないですが(笑)、中国市場での女性向けという視野で考えたときに、市場としてバトルやミステリーが好きという志向もあるんです。なので現在の形になったんですが、特に監督にとっては女子向けと聞いたのにむしろ少年向けのようで、発注が間違ってない?と思われたかもしれないです。
森:今までアクションものも多く作ってきたので結果的にはよかったんですけど、大変ではありました(笑)。日常のお芝居も難しいんですけどね。
丸戸:ともあれ、トンは基本的に何もできない店長ですよね……(笑)。
矢野:もちろん、今でも何かできているわけではないですからね。
森:お金の計算はできるんじゃないかな。あと、宣伝広告はうまそう。