Special

スペシャルインタビュー
<vol.03>


オリジナルアニメ『Phantom in the Twilight』が、どのようにして出来上がっていったのかをシリーズ構成を担当した丸戸史明氏と矢野俊策氏に本作のプロデューサーである星野万里が直撃取材。
企画の成り立ちから、ここでしか語られないマル秘裏話など『ファントワ』をより深く知れるスペシャルインタビューを3回に渡ってお送りします。

スペシャルインタビューもとうとう最終回の第3回目。
本作で初めてタッグを組んだということで、互いの印象を聞いてみました。また物語が佳境を迎えはじめた『Phantom in the Twilight』の今後の見どころについても特別に語ってもらっています!


星野:今回おふたりは初めて組んだお仕事でしたが、いかがでしたか?

矢野:おそろしくやりやすかったですね。投げたボールに対して必ず面白いものが返ってくるので、本当にやりがいもありました。初めてお会いしたとき、とりあえず今ある概要に対してざっと考えますかと始めたら、まぁスルスルとアイデアが出てくる出てくる!

丸戸:しゃべりまくるんでね。そういう仕事というのもありますけど、話しながら筋書きはできますよね(笑)。

矢野:人と話していると、自分の頭の中が整理されてアイデアなどが浮かんでくることは絶対ありますね。

丸戸:今まで考えてなかったことでも、なるほどそうですよねってなったり(笑)。矢野さんは何を言ってもダメを返してこないのがすごいんです。いろんな方向に投げたことすべてにソリューションを提示してくれるところが素晴らしいなと思いますね。

星野:確かに翌週には矢野さんからの解決策が出ていましたね。

丸戸:だいたい私は、適当に「こうしたい」って希望を出すんですが、それがダメってならないからすごくやりやすかった。アイデアにひとつ乗せて、また乗せていく感じ。

矢野:でもファントワの現場は、全体的にそんな感じでしたよね。

丸戸:それぞれが出したものに乗っけていくので、監督が削るのたいへんだったんじゃないかなと思います。

矢野:尺に合わせるのは監督ですからね。

丸戸:「この脚本5分くらい削るよ」って言われたときは、何言ってるんだろう、そんなに細かく書いたつもりないのにおかしいなと思いましたが、いまだに脚本と演出の戦いは終わらないです(笑)。

星野:おふたりの注目している回、愛着のあるキャラやシーンなどお聞かせください。

丸戸:キャラクターは全員、愛情を込めて作ったつもりですが、やっぱり後半になってヴァン・ヘルシングが活躍しだすと……(笑)。

矢野:あそこはもうただただ面白いですよね。
丸戸:私はもう、11話のヘルシングが一番好きです。だけど彼の活躍が脚本からどれだけ削られるかが注目ですね(笑)。変なおっさんたち、あそこが一番ノリノリでした。

矢野:そこは尺の問題がどうしてもあるので……(笑)。印象的なシーンだと、10話の最後、ホームパーティのシーン。あそこは丸戸さんの本領発揮というか、本気の本気を出してきたなと思いました。監督がこの回のアクションはここって宣言したのもおもしろかったですね。アレはスゴイと思いましたよ。話の流れ的に、ヴラットがどう株を持ち直すのかなと思ったら、ものすごい力技できてしかも面白くて感動的。さらに暗い雰囲気を吹き飛ばせる、すごいシーンです。
丸戸:ロンドンのフォートナム&メイソン4階のティーラウンジでアフタヌーンティーを食して、きっちり取材しましたからね! 高いだけあって(笑)ロンドンで一番うまい飯でした。コンテでは最初、普通の食事であがってきていたんですが、これはアフタヌーンティーだって資料を出して。

矢野:三階建てでサンドイッチとスコーンとケーキですね(笑)。

丸戸:はい、こだわりがありましたから、コンテを直していただきました。

星野:そういえば丸戸さん、ロンドンロケは弾丸で行かれていましたよね。

丸戸:3泊で作中に登場する場所はだいたい周ったので、本当に足が死にました……。

星野:矢野さんはいかがでしょうか?

矢野:私はキャラだとぱっと見のお気に入りはルークなんですが、追っていって一番おもしろかったのはヴラッドです。最初はあんなにクールでそのあとへたれたりなんだりして、最終的にだんだんヘルシングに近くなってないかお前、みたいな、あの変遷はおもしろいですね。

星野:では最後に、アニメを楽しんでいる方々に一言お願いします。日本でも中国でもアジアでも北米でもワールドワイドにやっていますので!

丸戸:今までの作法とはちょっと違う、違う国に向けての作品ですが、その中で最大公約数として、誰でも、どこの国の人でも、男でも女でも面白いというコアな部分や、ここを強くやっていけば自分がこれから進む道もあるんじゃないかというのが見えてきました。市場としては中国に向けているけど、いろいろな人が見て何かおもしろいと感じてくれればうれしいですし、汎用的におもしろい部分を感じ取ってもらえたら私の勝ちだなと。もらえなかったら負けなんですが(笑)。

矢野:アニメ用に作ったものですが、まだまだ掘りがいのある世界観を作ったと自分でも思っているので、これからまだまだいろいろな作品を展開していけると思います。そういう意味では、まずこのアニメから楽しんでいただいて。実は意外とアンブラの連中、悩みも多いんだぜ、みたいな話もまだまだありますので、アンブラと人間とのコミュニケーションのおもしろさみたいなものを期待していただけたらと思います。そうやって長く稼ぎたいですね(笑)。

丸戸:この世界のいまだ見えていないところにも思いを馳せてくれるとうれしいなということですね。矢野さんの中にはいろいろあるんですよ。だからみなさんがここが知りたいと言ってくれればどんどん出てくるんですよ!

星野:物語が進んでいくとどんどん知りたいことも出てくると思います。たくさんの予想コメントやファンアートがでてくるとうれしいですね(笑)。そうなれば成功だと思います。観ているみなさん、ぜひよろしくお願いいたします!

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