Special

クリエイター鼎談

第1回


ヴラッド・ガーファンクルについて

森:まずはキャラ全体のお話ですが、アフレコのとき、役者さんに監督として最初に説明したのは、ヴラッドはクール、ルークはワイルド、トウリュウは寡黙、ウェインは無邪気という簡単なものでした。あとの部分は役者さんにおまかせしていますし、脚本の段階で、セリフに性格が出ていると思いますので読めばわかる(笑)といいますか、いつもそうなんですが、くどい説明はしないようにしています。

丸戸:話が進んでいくとヘタレな部分が見えてくるのがヴラッドです。もともとヘタレなんですが、当初はそれに加えて傲慢という側面がありました。

矢野:女々しいキャラクターという面もありますよね(笑)。

丸戸:クールだったり傲慢だったりするのは、実のところ虚勢なのかなあ(笑)。書いているときは、キャラクターとして描くのか人間として描くのか――彼は人間じゃないんですが(笑)――どちらがいいか悩みましたね。僕はなにを書いていても後者に寄ってしまうというのと、世間にどう受け入れられるのかという部分がよくわかってなかったところがあったので。結局、基本的に自分の好きな方向になってしまいましたが(笑)。

森:それでいいんだと思いますよ。あまりお堅い性格ばかりですと話としても前に進まないし面白くないので。そういうキャラクターを作っていただいて本当にありがたいと思っています。

星野:シナリオ会議では、女性からはただかっこいいよりもギャップがあって母性本能をくすぐられるという評価でした。丸戸さんと矢野さんは『いやぁへたれですよね』って(笑)。男性受けは悪いかもしれませんが、女性としては多分、ひとりの人を思い続けているというのは、女々しさじゃなくてロマンチストという変換があるかと思います。

矢野:想いを断ち切れないことを一途と言い換えることもできるんですが、ヴラッドは、自分の最終的なイメージだと『メンドクサイやつ』なんですよ(笑)。目の前に現れた自分がかつて、今でも想っている人のひ孫という存在をどうとらえていくのか、どう関わっていくのか、いろいろな意味で方針が揺れるんです。最初は『とはいえ別人だから……』と引いてみていたら相手はどんどん踏み込んでくる。それにどう対応すればいいのかと、間違いを犯したりしつつ進んでいく。そこが丸戸さん言うところの人間らしさで、そういう意味で人間らしく悩み、人間らしくめんどくさい。男女がどうこうというよりは、そういう決めきれない部分がヴラッドの一番の特徴なのかなと思ってます。

丸戸:設定的には最強なはずなんですけどね……この性格(笑)。

矢野:能力は最強ですよ(笑)。

星野:そういう弱さみたいなものは吸血鬼キャラとしても新鮮ですし、ありだったと私は思っています。ちなみに私はヴラッドがすごく好きなんですが、ターゲットとして想定していた強い女の人に憧れる女子の方々も、守られたいというよりは守りたい、彼の悲しみをぬぐってあげたいみたいな感じはあるのかもしれないです。

丸戸:そこなんですよ! 強い女子に憧れる女子をターゲットにしたとき、強い女子が好きなキャラクターを配置していいのかという悩みがあったんです。

星野:ヴラッドもちゃんと人気ありますから大丈夫です!

丸戸:よかった……。

矢野:一安心です(笑)。

星野:皆さんが思われているほど、女子は女々しいと思っていないのかと思います。『カッコイイ』の一言に集約されてしまうので、そこに含まれたすべての感情はわからないですが、やっぱり最後にはきちんと決めてくれる、守ってくれているところはありますから。

矢野:やることはちゃんとやりますよね(笑)。

丸戸:もともと最強なんですもの(笑)。

第2回


ルーク・ボーエンについて

森:ルークはひとりでいろいろとしゃべって、説明までしてくれるから楽です。丸戸さんもセリフが書きやすかったんじゃないですか?

丸戸:ルークは自分は強いけれど最強ではないことを自覚しながら、きちんとできることを頑張るような、正しく少年主人公的ないいキャラクターですよね。

矢野:とてもいいヤツですよね。過去にいろいろあったところも含めて、自分でもある程度、いいヤツであろう、いいヤツになろうとしている気がします。苦労もしているから、それが嫌味にならない。

星野:絶対にファンがつく鉄板キャラですよね。カッコよくてちょっとナンパで、いわゆる女子向けに必ず出てくる男子という感じ。男性も癖がないルークのことは好きなんじゃないかなと思います。でも、一番女子が興奮したのは、獣化したときにウルフマン(全身毛だらけ)にならなかったところですね!

丸戸:そこは強い監修が入りましたからね(笑)。どこまで獣にするのかという点についてはいろいろと議論がありました。

矢野:以前、吸血鬼の弱点について中国ではあまり一般的に知られていないという話をしましたけど、同じように狼男の存在もメジャーではないんです。日本のお客さんがなんとなく知っている狼男の特徴や弱点というものが、それほど浸透していないので、そのあたりはあまり触れないで作っています。全身を変身させず、顔を人間のままで獣の耳だけ生やしたのは、ビジュアルとしてどうかという考えからです。

丸戸:最終的に胸毛をどうするか、激しい議論がありました。

星野:胸毛は絶対にないです!(笑)アンブラは人外ですけど、『戦うイケメン』のラインを外してしまってはいけないところがあるんです。視聴者からは1話で変身したときに『こうきたか!』『まさかのケモミミ!』というその辺がかわいいという反応がありましたので、やはり胸毛なしにした判断は間違っていなかったと思っています。

丸戸:獣と人間の耳は共存するのかも問題になりましたね。

森:ルークがスマホを使うときに、よく間違えていました。何カットか人間の耳の方にスマホをあてて描いてあって、ハンズフリーの状態に修正しています。

丸戸:耳がどこにあるかを考えさせちゃいけない(笑)。

第3回


寡黙なトウリュウ

森:トウリュウは表情がほとんど見えなくて、セリフも喜怒哀楽をそれほど出すタイプではないので、作画的には(笑)楽だろうと思っていたんですが、顔に出ないのもそれはそれで難しかったですね。楽でもあり難しくもありでした。

矢野:中国でイメージがわきやすい「アンブラ」として、キョンシーを持ってきています。もっとわかりやすく言うと、トワイライツの最初の配置は『怪物くん』なので、フランケンと吸血鬼と狼男、フランケンの部分をキョンシーに差し替えたのがスタート地点です。

星野:カッコいいキョンシーが出てきて、ガトリングぶっ放すっていうのがビックリでした。

矢野:ヴラッドとルークが接近戦型だったので、後ろからとにかく弾をバリバリ撃つ感じにしようと。袖からなんでも取り出す仙人のイメージから、それなら銃を取り出せばいいじゃないと。

丸戸:ガンタンク的な役割ですね(笑)。

矢野:トウリュウは声が印象的でしたね。まずトウリュウのキャラ造形で杉田さんにしようというのが意外でしたし、やっていただいたらすごく面白く仕上がっていました。

ヘイシンの過去

丸戸:ヘイシンはリージャンと同じ家の出で、トンの実家は彼に滅ぼされてます。

矢野:リージャンの旦那さんの兄貴がヘイシンです。リージャンは結婚で入ってきたわけですが、同じ一族になります。

丸戸:で、トウリュウを作ったのがヘイシン。

森:第4話の冒頭はリージャンの住んでいた家ですよね。ヘイシンがトウリュウをけしかけて襲わせたってことですか。

矢野:襲わせたのか、ヘイシンがなにかやっているのを見抜いて暴走したのかというところですね。

丸戸:そういう形で滅ぼされて、リージャンがいなくなっていたので、一族で生き残ったのはリージャンの息子――トンのおじいちゃんだけになってしまったんですが、資産はあったので保護されて育って、家はちゃんと続いたんです。この辺の歴史がいろいろと捻じ曲がって伝えられたせいで、逃げ出したリージャンは悪いヤツだと自分の母親を憎んでいた。トンが持っていたリージャンからの手紙は、本当はおじいちゃんに届いたもので、見もせずに、捨てるには忍びないのでしまいこまれていたものなんです。それをトンが見つけて読んだ。トンにとって、リージャンは憧れの曾おばあちゃんなんだけど、家ではそんなことひとことも言えない状況だったんですね。

矢野:あの時代にロンドンに行って活躍していたというだけで、憧れの対象にはなりえますからね。

丸戸:だけど、曾おばあちゃんはどういう人だったのって聞くと、親にはすごく渋い顔をされる。それで余計にいろいろと想像を膨らませていたところもあるのかと思います。

星野:でも、ヘイシンが家を滅ぼしたのってなんでなんでしょう。

丸戸:修行をこじらせたとでもいうんでしょうか。

矢野:すごく単純な話で、不老不死に行き着きたかったんだけど、その道筋をこじらせてしまったのが大きいと思いますね。

丸戸:術者の家系だったんですよ。そして、もしかしたらリージャンという、自分よりもすごいかもしれない人が現れたことへの焦燥感もあったのかもしれないです。

矢野:追い越されるかもしれないものを見てしまって、ねじ曲がってしまったと。

丸戸:自分は術者としてどう生きるべきかという部分から、とにかく自分だけで生きていけばいいんじゃないかと思ってしまったのかもしれないですね。リージャンが引き金になっているともいえるでしょう。

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